チェンソーの軽量化について少し書いてみたいと思います。
最近の小型チェンソーはスパースプロケット方式がほとんどだと思います。
プロ用のチェンソーでも小型機はスパー式しか用意されていない場合もあります。
何故だろうと思っていましたが、スパースプロケットの方が軽くできるからだと思います。(あくまでも私の考えです。)
スパー式とリム式のスプロケット当店で部品在庫しているものはMS260用のものしかなかったのでこれで考えてみたいと思います。

左がスパー式右がリム式です。
リムスプロケットはリムとクラッチドラムで一セットになります。
先ほども書きましたが両方ともMS260チェンソーの部品です。
リム式の方が質量が20gほど重くなります。
リムだけの質量で20gあるわけではありません。
クラッチドラムだけで見るとスパー式の方が歯車の部分で重くなるような気がします。
しかし、・・・

内側です。
リム式スプロケットの方がしっかりと作られています。(中心部分)
何故しっかり作られているか。
スプロケットは消耗部品ですがリム式スプロケットはリムだけを交換することができます。
スパー式は歯車が摩耗すればスプロケットそっくり交換になります。
リム式のクラッチドラム部分は長く使われることになります。
そうなると耐久性も考えなければなりません。
重量増になりますがしっかり作らなければならないでしょう。
今現在のチェンソーはかなり極限まで軽量化していると思います。
排気ガス規制のエンジンになっているので、ピストン、シリンダー、キャブレター、マフラーなどは複雑化し質量増加していると思います。
前モデルのチェンソーと同程度またはさらに軽くするには、他のところで軽量化しなければなりません。
販売店やエンドユーザーの質量への注文は厳しい物があります。
部品の材質の変更など(より軽いものへ)で吸収できなくなっていると思います。
そこで、スプロケットに関してみればリム式を一切やめてスパー式のみにすることで軽量化するという選択肢もあると思います。
次に紹介するのはMS201とMS200のスパースプロケットです。

左がMS201で右がMS200です。
形状はほとんど同じに見えます。
実はMS201のスプロケットの方が10g軽量化されています。

分かりづらいと思いますが、MS201のスプロケットが若干薄く作られています。
初めてMS201のスプロケットを持った時に軽いと感じるくらいでした。

スプロケット自体はMS201の方がピカピカに磨かれています。
磨くことは強度を増すためなのでしょうか?(考えすぎかな)
次は、新発売になったハスクバーナ135eとハスクバーナ339XPのスプロケットです。

135eのスプロケットは中抜きまでして軽量化しています。

しかもピカピカ。

プレスで打ち抜いただけのようにも見えます。
強度的に大丈夫なのだろうかと思いますが、ソーチェンと接触する歯車部分の摩耗限界の方が先に来ると思いますので、ドラム部分を中抜きしても問題ないのでしょう。
これがリム式であれば、ドラム部分は使いまわしするので、強度が必要になると思います。
さらなる軽量化にはスパー式スプロケットを選択せざるを得なかったのでしょう。
コスト削減にもつながると思います。
面白いものを紹介します。

何の変哲もないスプロケットに見えます。


こんなことになっています。

歯車部分が取れています。
こういうことは滅多に起こりません。私もまだ数回しか見たことがありません。
これを見て強度は大丈夫かと思うかもしれませんが、これはチェンソーの使用方法に問題があったと思っています。
それと、スパースプロケットの使用限界を超えて使用し続けています。

本来、歯車部分にここまで段差ができていればスプロケットはすでに交換していなければなりません。
※スプロケットの摩耗の仕方はチェンソーの使用者によりビックリするほど変わってきます。
どういうことかというと、切れないチェン(目立てができていないチェン)を延々と使用しているとあっという間にスプロケットは摩耗限界に達してしまいます。
こういうことを言うと怒られるかもしれませんが、スプロケットのここが壊れることでクランクシャフトが折れないということもあるかもしれません。
最近は作業のスピードを上げるために斜め切りするという話をよく耳にします。
斜め切りはクランクシャフトにダメージを与えやすいのでクランクシャフトが折れることがあります。
クランクシャフトが折れるくらいならスプロケットが壊れた方がいいかななんて考えてしまいます。
こちら

これはスプロケットの強度に問題があったわけではないと思います。
たぶん、チェンブレーキをかけてエンジン始動したときにハーフスロットルのまま暖機運転を続けたか、チェンブレーキしたまフルスロットルを続けたのだと思います。
スプロケットの内側はすり減っていますし、クラッチシューは焼けて変色していました。
さて、
小型チェンソー、プロ機でもリム式スプロケットがほとんどないということはこういう訳なのかなと思っています。(私の思い込みですが)
販売店もエンドユーザーもメーカーに対して軽さだけを求めてもいいのだろうか・・・。
リム式スプロケットは質量重くなりますが、ランニングコストはリムだけの交換で済むので安くなります。
またソーチェンに対しても負荷が少ないと言われています。
メーカーとしては、コスト面、質量を考えればラインナップはそんなに増やせないと思います。
そこで、オレゴンさんなどいろんなチェンソーメーカーのスプロケットを製造しているメーカーにリム式スプロケットを作ってもらいたいものです。
最近の小型チェンソーやカジュアルチェンソーはリム式スプロケットがほとんどないと言っていいからです。
リム式だとソーチェンのタイプを変更するときもコストを低く抑えることができるので、カジュアルユーザーがチェンソーアートにチャレンジするときにもいいと思うのですが。
オレゴンさん頼みます。(笑)
それではまた。
私も、3/8ピッチだとリム式は7Tになるので駆動力小さくなると思いますし、初心者の方に対してもスパー式の方が取付けが楽だと思います。(当初はそれだけの理由でカジュアル機はスパー式にしているのかなと思っていました)(笑)
30~40ccクラスのプロ用小型チェンソーにはリム式もほしかったです。
MS200、MS201にもリム式があればいいと思います。
(北九州近郊の林業家の方にはよく言われていました)
ソーチェンのタイプを変更するのにもコストを低く抑えられますし、最近は1/4ピッチのリムもあるので、カービングバーの使用もできます。
オレゴンさんに本当に出してもらいたいです。
選択肢が増えればMS201もっと売れるようになると思うのですが・・・