内燃機関は、いろいろな構造のものがありますが、2ストロークの小型エンジンは構造は各メーカー基本的な構造は同じだと思います。
層状掃気エンジンなどが出てきましたが、基本的な構造は同じものだと思います。
同じものと言っても部品としてみると作り方が少し違うものがあります。
昔から気になっていたのが、クランクケースが左右二分割してシリンダーと組み合わせるものとシリンダーとクランクケースが上下二分割だけのものです。
どちらのものも、基本的には問題はないものだと思います。
前者の左右二分割でシリンダーと組み合わせる方式は、ガスケットやオイルシールの取り付けに安定感というか組み立ての際に左右されることは少ないものと思っています。(あくまでも私の感想)
上下二分割のエンジンは、組み立て作業に影響を受けると思っています。
上下二分割エンジンは構造上液体ガスケットを使用する方法が一番コストがかからず組み立てやすいと思います。
ただ、液体ガスケットを使い組み立てているので、当たり外れが起こっていると思っています。
こういうことを書くと機械に当たりはずれがある事を公表している事になるのであまりいい事ではないかもしれません。
関係各所に迷惑をかけるかもしれません。
ただ、あるメーカーではそれに対応して液体ガスケットを使わなくなっています。
そのメーカーでは、液体ガスケットを使うことで何か問題が発生していると思っているからだと思います。
何故か、液体ガスケットを使用しないことで、ガスケットやオイルシールにコストが掛かってでも工夫をしているからです。
一時期はある機械のガスケット立体的なものまでありました。
工夫しているメーカーもあるという事を公表したかったのです。
他のほぼすべてのメーカーもこのことはすでに知っていると思います。(笑)




この機械のガスケットはゴム(だと思います)でオイルシールのところからも空気漏れないようになっているようです。
オイルシールのところが上下とも半円立体的になるので一枚のガスケットで抑えることができないのです。
ガスケットがつながっていないと空気漏れるのが当たり前ですが、材質と形状を工夫して漏れないようにしているのだと思います。
これが液体ガスケットだと液体ガスケットを塗りたくっていけば、平面だろうが立体だろうが空気が漏れそうなところは隙間なく塞ぐことができます。
切れ目なくできる。(塗り方が良ければ)
空気漏れを心配するならば液体ガスケットの方が安心感は高いと思います。
液体ガスケットで今まで塗り方が少なく空気が漏れていたという事は私は経験がありません。
では何故問題がありそうなのか?
どちらかというと液体ガスケットを塗りすぎて、問題が起きていると思っています。
下の図は、シリンダーとクランクケースの壁の断面です。(笑)

液体ガスケットがうまく塗れるように溝が作られています。

茶色が液体ガスケットです。
液体ガスケットと言いますが、水のようなものではありません。
硬めの接着剤のような感じで、チューブに入っている商品が多いかと思います。
上記図のように溝の部分にまんべんなく塗っていきます。
この時オイルシールのところは塗りにくいです。

シリンダーとクランクケースを合体させます。
当然、液体ガスケットははみ出ます。

エンジンの外にはみ出した液体がすけとは何の問題もないのですが、内側にはみ出した液体ガスケットが悪さをします。
液体ガスケットは時間が経つとゴムのような感じになります。
柔らかいのでピストンやシリンダーには傷をつけることはありません。
人に聞いたのですが、クランク室や燃焼室に入ってもほとんど問題はないという事です。
左右二分割のクランクケースに使用してもほとんど問題はないのですが・・・
上下二分割の場合は若干問題が出る可能性があります。
実際そのような問題の修理をしてきました。
ベアリングのボールのところにはみ出た液体ガスケットの欠片が入り込むのです。
ベアリングの破損につながるかと思います。
オイルシールとベアリングの間のところの液体ガスケットが入り込むようです。
液体ガスケットを使用していたメーカーが液体ガスケットをやめて手間とコストがかかりそうなガスケットに変更しているという事は、何か問題があると判断したからだと思います。
私自身このようなタイプの機械を修理するときは、液体ガスケットの塗り方に非常に気を付けています。
内側にできるだけはみ出ないように塗り付けています。
各メーカーでも気を付けていると思いますが、今でもたまにこのようなことが起こっています。
対策としてはシールつきのベアリングにする。
液体ガスケットの使用をやめる。
クランクケース、シリンダーの形状を若干変える。
があると思います。
わたしはシールつきのベアリングを別途他のところから仕入れて修理しています。
もう一つ考えたものがあります。
下図

クランクケース、シリンダーの断面をこのような形にするといいのではないかと思います。

液体ガスケットを塗ります。
液体ガスケットを押しつぶす前に、矢印の部分が先に接触します。
合体させていきます。
液体ガスケットは押しつぶされていきますが、エンジン内部にははみ出しにくくなると思います。
(矢印部分が接触しているので、こちら側にははみ出しにくい)

外側にはみ出していくと思います。
別部品のオイルシールのところは、まだ難しいと思いますが。(笑)
さて、
上下二分割のエンジンは、組み立てる人の性格と腕が大きく影響しそうな気がします。
液体ガスケットを使用せず、組み立てる人の影響を出来るだけ少なくするようにするか。
何らかの対策は必要ではないかと思います。
ただ、製品総数に対してどれくらいベアリングにダメージがあるか私にはわかりません。
こういう修理があるという事です。
私、少し細かいですかね。(笑)
何も考えず修理していればいいだけなのかもしれませんが。(笑)
日本人気質(改善)のスピリットがあるという事で勘弁してください。
何故ここが壊れたんだろうとか、すぐ考えるんです。
気が付かない場合もありますし、見当違いのこともありますが、「なぜこうなるのか」という気持ちを忘れないようにしています。(笑)
自分でいうのもなんですが、少々めんどくさいやつですな。(笑)
それではまた。
FS130はたまたま調子の悪い中古品を入手したのですが、確かにガスケットの掃除が面倒でした(笑)
良く切れるスクレーパーで剥げるものの、角が曲者ですね。
私は組付け時にはシリコン系ではなくて、ハイロマーと言う非硬化性の液体パッキンを使います。少しずつ指に取ってしっかり脱脂された面に塗り付けるだけですし、ガスケットシートにも塗ります。分解時にはラッカーシンナー等の溶剤で容易に除去できます。
これだと硬化しないので、万が一ベアリングに噛んでも粘土のように押し出されるだけだと思います。
油圧プレスは作業の幅が広がりますね。かれこれ数十個のベアリングを交換しましたが、個人でここまでやるとやり過ぎでしょうか(笑)
しかし、パワーがある分用心しないと簡単に破壊に繋がるので慎重になるのと、場所を取ります…。