世界二大メーカーフラッグシップ機のピストンシリンダーです。
残念なことに両方とも焼き付いています。

インテイク側

上。
デコンプは上側燃焼室についています。
壁面についている方がカーボンの付着などが少なくなるのでいいかと思うのですが、層状掃気エンジンで燃焼効率を上げるために掃気ポートもあり、デコンプの場所がなかったのでしょう。
デコンプが燃焼室についたということで、混合オイルはさらに良質な物を使用しなければならないでしょう。

排気側。
スチールは層状掃気のポートを作るために、シリンダー内側にライナーを打ち込んでいるようです。
ハスクバーナは外側に金属でネジ止めしています。


排気ガス以前の機械からすると両社とも複雑になっています。
そして大きく変わったのは、冷却用のフィンです。
フィンの数と大きさがかなり増えています。
排気ガス規制なので燃料の供給が少なくなっています。
内燃機関のエンジンは燃料によっても冷却されます。(ガソリン冷却)
希薄燃料になるので、エンジン温度は高くなるでしょう。
それを抑えるために冷却用のフィンを増やし大きくしたと思います。
希薄燃料になるということは、燃料が少ない、燃料が少ないということはオイルも少ない。(燃料にオイルが混ざっている)
混合オイルは50:1を使用したほうが、燃焼効率も良くなります。
なおさら混合オイルに求められる性能がシビアになってきます。

以前の吸気ポートの形状は円形か楕円形でどこのメーカーもあまり変わり映えしなかったと思います。
(小型機種では特殊な形状をしたものもありました)
先導空気用のポートと混合ガス用のポート、メーカーによってかなり形状が違います。
非常に面白いですね。
顔に見えてくるのは私だけでしょうか(笑)

両社ともほぼ同排気量ですが、ピストンはハスクバーナが若干ですが細長いです。
層状掃気エンジンは構造上ロングストロークエンジンになってしまいます。
242XPのころはショートストロークで高回転エンジンでした。
ただ、ロングストロークの方が使いやすいかもしれません。
(故:石川さん談)
ハスクバーナはピストンリング1本なんです。
かなりいい材質のものを使用していると思います。(242XPなども1本)
フリクションロスを減らして高回転が出やすいようにしているのでしょうか?
ただ、デメリットもあると思います。摩耗による圧縮抜けが早く起こると思います。
それを考えるとハスクバーナにこそゴツイ紙フィルターが必要かもしれません。(笑)

ピストンクラウンンは両社ともフラットです。
これは両社とも昔からフラットだったと思います。
海外ではピストンの縁を少し削りシリンダーの高さもそれに合わせ小さくし、スキッシュエリアを増やして圧縮比を高めるという改造をする強者もいます。(笑)(燃焼室も削っています)
海外の方はホントに面白いと思います。

ピストンで先導空気の通り道、タイミングを取っています。
機種によっては先導空気をリードバルブで制御しているものもあります。
身近な所でいうと三菱製小型汎用エンジンなどがその仕組みだったと思います。
上の方の四角い穴はピストンが巨大化したので、質量を落とすために肉を落としたそうです。
初めてみた時はこの穴はなんだと思いました。(笑)

MS261のシリンダーです。
以前の機種よりもスキッシュエリアが大きくなるようになっていると思います。
希薄燃料なのでプラグ付近に混合ガスを集めるためなのでしょうか?
四流掃気ポートになっています。
各掃気ポートは意外と離れていますが、あまり違和感は感じませんでした。

ハスクバーナもスキッシュエリアが大きいと思います。
それと面白いのは、一見すると掃気ポートがない?
マフラー側にあります。(矢印)
なぜこんな位置に作ったのか。
想像できるのは。
ハスクバーナはエルゴノミクスにこだわるので、チェンソー全体の形を考えると掃気ポートがこの位置になった。
もう一つ、下の写真を見てください。

排気ポートの横から上がってきています。
あくまでも私の想像ですが、掃気ポートから上がってくる混合ガスでシリンダーを冷やしているのでしょうか?
このあたりのことを技術者の方に聞いてみたいですね。
(英語、話せないんですけどね)(笑)
私が昔読んだ本ではクランク室から燃焼室へ行く掃気ポートはできるだけ短くそして大きい方が抵抗がなくていいよというものでした。
層状掃気エンジンなのでポートは複雑になると思いますが、わざわざ遠回りをさせているみたいでとても面白いです。
エンジンは排気側が熱を持ちやすいので、冷やそうと考えているのかな~。
排気ガス規制エンジンで燃料冷却の効果が少ないのを、掃気ポートの形状で冷却効率をよくしているのでしょうか?
いや、いろいろ考えると面白いですね。
それではまた。
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