スターターのアシストは数種類あります。
デコンプ(圧縮抜き)、スターターグリップにスプリングなどの緩衝材を取付けたもの、リコイルリールにダンパスプリングを取付けたものなどです。
※各メーカーの最近のチェンソーではアシストが付いていないチェンソーを探すのが難しいくらいです。
スターターを引きやすくなるというメリットはありますが、デメリットもあると思います。
今回はリコイルリールにアシストが付いたもので、私が気になった事を紹介したいと思います。
リコイルリールにアシストが付いたものには大きく分けて2種類あると思います。
ゼンマイ式のものとコイルスプリング式(いわゆるバネ)のものです。
大きなデメリットは故障です。
部品点数が多くなるので、故障が増えるのは避けられないと思います。
また仕組みが複雑になるので、お客さん自身で修理できないケースもあります。
メリットとしてはエンジン始動が楽になります。
小学5年生くらいの女の子でもエンジンを始動させることができます。
これはやはりすごいと思います。
もう一つのデメリットは質量増です。
次に気になる点です。
引き力が弱い人でもエンジン掛けやすいのは、ゼンマイ式アシスト(畜力式ともいわれます)の方です。
この方式は非力な人でもエンジン掛けやすいのですが、逆に力の強い人が力いっぱい引いてもスカタン食うような感じになりますし、壊れるかもしれません。
ある程度ロープを引いて初めてクランクシャフトを回転させます。
勢いよく引こうが、ゆっくり引こうがロープを引く距離でクランクシャフトが回転します。
引くスピードではなく引く距離に依存します。
これはこれで、このチェンソーだけを使用するだけならいいかもしれません。
このエンジン始動方法に慣れてしまうとある問題が起こるのではないかと最近考えるようになりました。
燃料の吸い込みすぎ、かぶらせる方が業者さんの中にも出てきています。
造園業者さんの中にはスチールのカジュアルチェンソーを使用している方もいます。
排気量35cc~45ccのものがあり、プロの業者さんの使用にも耐えうるチェンソーです。
そのようなカジュアルチェンソーを使用していた業者さんが、MS241C-MやMS261C-Mなどのプロ機を購入したときにかぶらせるケースが多いような気がします。
今までのカジュアルチェンソーが引くスピードではなく引く距離でエンジンが始動していたからです。
プロ機はスターター自体にアシストは付いていません。(私はそれでいいと思いますプロ機は故障の少なさを1番に考えるべきだと思っています)
デコンプでスターターを引きやすくしています。
エンジンの始動性はロープを引くスピードも重要になります。
そうなんです。
引くスピードが遅いようなのです。
決して力が弱いわけではないと思います。
スピードを付けて引いてくださいとアドバイスするとかぶらせてしまうことはほとんど無くなります。
慣れ親しんだ感覚が、邪魔をしていたようなのです。
ただこれも、新しいチェンソーにすぐ慣れると思います。
スチールのチェンソーに限らずプロ機をかぶらせてしまうという場合は、スターターロープの引くスピードをチェックしてみるのもいいかと思います。
かぶらせる原因はこれ以外にもありますが、まずは最初に考えてみもいいかもしれません。(笑)
コイルスプリング式は、スターターロープを引く距離ではなく引くスピードが重要になります。
圧縮の抵抗を滑らかにするだけです。
15年以上前はアシスト付のスターターはほとんどなかったと思います。
エンジン始動性は良くなりましたが、スターター部の故障も多くなったと思います。
正直な所、排気量40cc以下のチェンソーにはアシスト付は必要なのか?
私的には疑問です。(笑)
私が修理屋だからそんな風に思うのかもしれませんね。
アシスト付のスターターのエンジン始動時のコツというか注意点を
落とし掛けはやめた方がいいです。
ゼンマイ式アシストの場合は引くスピードではなく引く距離を意識する。
それと力が強い人はあまり力強く引かない方がいいと思います。
アシストのスプリングが壊れます。
話は変わりますが、スチールMS192、以前はアシストなしのスターターASSYがあったのですが、今は無くなっています。
アシスト付の部品のみの供給になっています。
当店にMS192アシストなしのスターターひょっとして最後一つだったりして(笑)

上がアシスト付。下がアシストなし。

昔は、アシストなしによく交換していました。
最近のアシスト付は壊れにくくなっていますが、それでもアシストなしと比較すると故障件数は多くなります。
ただ、アシスト付はスターターを引くときに感じる抵抗が少なく感じます。
ハスクバーナゼノアややまびこなども改良されて故障は少なくなりましたが、それでも比較すると故障は多いかと思います。
部品点数が増えるので仕方がないかもしれません。
それではまた。
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