先日、346XPの修理で始めての故障原因がありました。
運良くその原因にすぐに気づくことが出来たので、いろいろと部品を交換しなくてすみました。
結局修理はしないことになりました。
(修理代金が部品代も含めてかなりかかりそうだったから)
ハスクバーナ346XPを10台近く所有しているお客さんなのですが、実は当店から購入した機械は一台もありません。
すべてよそで購入したようです。
ネットショップか福岡の方の安売り店で購入しているようです。
しかしその店が修理が出来ずに、修理だけ当店に持ってくるというお客さんでした。
いぜんは242XPなどを当店からも購入してくれていましたが、今はぜんぜんです。
今現在は消耗品を少し購入してくれるだけです。
昔からの付き合いもあるので仕方なく修理を引き受けているという感じです。
少々愚痴っぽくなりましたが、修理の方の話へ進みたいと思います。

エンジンの回転数が安定せず、燃料ホースやマニホールド、キャブレター等を分解点検しました。
これといってゴム製部品の劣化は見当たりませんでした。
オイルシールが悪いかもしれないと思い、クラッチ側をまず点検してみました。
オイルシールにガソリンをかけてみてもエンジンストップはしませんでしたが、エンジン回転数が変化したのでオイルシールからエアを噛んで知るようでした。
ここでエンジンストップしスターターロープを引いてオイルシールとクランクシャフトのところの動きを何気に見ているとベアリングとクランクシャフトが空回りしているではありませんか。
ベアリング内側とクランクシャフトは圧入されていて内側とシャフトはいっしょに回るはずなのです。
この部分が摩耗してここからエアをかんでいたようです。

赤い矢印がオイルシール、青い矢印のところが摩耗して空回りしていた。
ですからもしオイルシールを交換していても症状は治まらなかったと思います。
クランクシャフトとベアリングが磨耗していると思います。
この状態ですとクランクシャフトは交換しなければならないと思います。
当然、クランクケースは分解しなければなりませんし、修理代部品代はかなりかかると思います。
また、このチェンソーはこれ以外にもかなりあちこちにガタが来ていたのですべてを修理しようとすると、修理代がどれくらいかかるかわからないところです。
お客さんもそれならば修理をしないということになりました。
しかし、このようにベアリングとシャフトに隙間ができてしまうのは、初めて見ました。
この部分は圧入されているので、めったなことでは隙間ができることはないと思います。
多分、このチェンソーは一度クランクケースを分解したと思われます。
しかもこのときに専用工具を使用せずに、ハンマーなどでたたいてはずしたのではないかと思います。
そして、ほかのクランクケースにはめ込んだのではないかと思います。
なかなかはまらなかったので、無理にたたいて取り付けたのではないでしょうか。
このような修理はやはり専用工具があるのとないのとでは、やりやすさが違ってくると思います。
(ちなみにクランクケースを分解する修理工賃は1~2万円ほどかかります)
クランクシャフトは一体型になっており部品価格も高く、またここが悪くなっているときはピストンシリンダーも悪くなっているときが多く滅多に修理することはありません。
修理代金がかなりかかってしまうのでお客さんは修理を中止してしまいます。
今回も新品のチェンソーを買ったほうがいいということで修理を中止しました。
オイルシールを点検するときは、シャフトとベアリングの取り付け部も点検するようにしたほうがいいと思います。
圧入していても隙間ができることがあるので注意しなければなりません。
それではまた。
お褒めの言葉ありがとうございます。
私もこのごろは当店購入製品と他店購入製品の修理は、できるだけ差別化しようとしています。
そうしないと当店より購入してくださった方に悪いかなと思うようになりました。
修理を見込んで当店から購入してくれたのですからやはりそれなりのサービスの差は必要かなと考えています。
それではまた