クラッチ回りの磨耗と交換について書いてみたいと思います。
242XPで説明しますが、すべてのチェンソーに大体当てはまると思います。
ソーチェン、ガイドバーについで高速回転、衝撃、磨耗、ゴミにさらされていると思います。
ソーチェンやガイドバーは切れ味が悪くなったり曲がったりして、交換することも多いかと思いますが、クラッチ回りの部品は点検することもまれなのではないでしょうか。

右側が新品の部品です。
クラッチ回りの部品の中ではリム式の場合はリムが、スパー方のものはスパー部が一番磨耗してくると思います。
この部分の磨耗がひどくなるとソーチェンが破断してしまいます。
今のチェンソーはソーチェンが破断してもチェンキャッチャーなどの装備で使用者本人にソーチェンが当たらないように作られています。
しかし、チェンキャッチャーが壊れてなかったり、またあたらないように作られていても、100%完璧かどうか、破断したソーチェンがほかの物に当たってそれから使用者のほうに飛散することもあるかもしれません。
ソーチェンが破断することはやはりとても危険を伴いますので、リムおよびスパー式スプロケットはよく点検しましょう。
交換の目安は取扱説明書に書いてあると思います。
チェンソーによっていろいろあるかもしれませんが、通常0.5mmほど磨耗したら交換するようになっています。
(正確な磨耗目安は取扱説明書をご覧ください)
チェンキャッチャーが壊れてなかったりと書きましたが、壊れないチェンキャッチャーを作ればいいのにと思うかもしれませんが、チェンキャッチャーは極端に言うと壊れるように作られています。
ソーチェンよりもやわらかく壊れやすいようになっています。
チェンキャッチャーはソーチェンが外れたり破断した際に、ソーチェンを受け止めるように作られています。
このチェンキャッチャーが硬い物質で作られていると、ソーチェンのほうがさらに破断することも考えられるからです。
ここで破断したソーチェンの破片が使用者に飛散することになるかもしれないからです。
このようにすべてを硬い物質で作ることはできません。
ですからチェンキャッチャーも消耗品と考え、ソーチェンが外れた場合はチェンキャッチャーも点検するようにしてください。
※ここからは私が思っていることですが、リムやスパースプロケットも硬い物質で作ることはできないのかもしれません。
磨耗しないような物質で作ると長持ちするかもしれませんが、そうするとソーチェンのほうがかなり磨耗するようになりソーチェンが破断することになるのかもしれません。
それでは242シリーズのクラッチ回り部品の話に戻りたいと思います。

右が新品のスプロケット(クラッチドラム)
古いスプロケットのニードルベアリングはスプロケットに打ち込まれていて固定しています。
このベアリングがずれてアイドリング時にスプロケットが回転してしまうことがありました。
新しいものはこのベアリングがフリーで動くようになっています。
このタイプになってからベアリングのずれによるアイドリング時スプロケット回転は起こらないようになりました。
今回このスプロケットを交換することにしたのは、青い矢印の部分に深い傷があったからです。
この傷はソーチェンのドライブリンクをきれいにリムに取り付けなかったことでついた傷だと思います。
クラッチ部がチェンソー本体より外にあるタイプのものは、ドライブリンクをリムの溝にはめ込むのに若干見えにくいので注意が必要です。
汚れがひどい場合はなおさら見えにくくなるので汚れを良く落としてから、ソーチェンを取り付けるようにします。

右側が新品のリムです。
古いリムは1mmくらいの段差ができていました。
このまま使い続けると、ソーチェンにダメージを与えるので交換します。

左側が新品のスペーサーです。スプロケットとクラッチシューの間にある部品です。
この部品がないタイプのチェンソーもあります。
写真の撮り方を逆にしてしまいました。
右側が古いものです。
このように傷がついてくるとアイドリング時にソーチェンが回転してしまうこともあります。
スペーサーは少し傷がついたら裏返しにしてやるといいかと思います。
裏表傷がついたら交換してもいいと思います。
しかし、片側がかなり深く傷がついてしまった場合はすぐに交換してください。


クラッチシューです。クラッチ回りで一番耐久性がある部品だと思います。
これも左側が新しい部品です。
古いものは写真ではわかりにくいかと思いますが、かなり磨耗しています。
また、シュー自体の組み合わせ部分も磨耗しているようなので、新しい部品に交換しました。
クラッチシューの部品の中ではスプリングが悪くなります。
スプリングが伸びてしまったり切れてしまいます。
するとアイドリング時でもソーチェンが回転してしまいます。
242のクラッチスプリングを取り付けるのはこつさえつかめば簡単です。
私はマイナスドライバー1本で取り付けてしまいます。
スプリングはコイル型のものや板バネ式のものがあります。
クラッチ回りはゴミもたまりやすく磨耗しやすいところでもあります。
それと、慣性式自動チェンブレーキの作動場所にもなりますので、こまめな掃除を心がけたほうがいいと思います。
スチール社からはガイドバー、ソーチェン、スプロケット、リムなどの磨耗具合を点検するチェックゲージという製品もあります。
▼チェックゲージ使い方



このような道具もあります。
このような道具があるということは、シビアに点検しなさいというメーカーのメッセージなのかもしれません。
磨耗の度合いが良く判断できないのならばこのような道具を持っていると安心できると思います。
それではまた。
確かに、リムやチェンキャッチャーはソーチェンより安いと思います。
壊れやすいところはできるだけ安い部品のところがいいです。
ただここの部品はソーチェンをいためないようにソーチェンよりやわらかくしているようです。
(特にチェンキャッチャー)
私は詳しいことは知らないのですが、すごく硬い材質でできているリムがあるそうです。
それを使用するとやはりソーチェンの磨耗が早いそうです。
カービングをやっている方から聞きました。
カービング用の特殊なリムなのかもしれません。
部品の値段も国産機と輸入品ではかなり違うものもあります。
確かに輸入品の部品はすごくいい材質ですが少々値段が高すぎるかと思います。