今回は変わったシリンダーを紹介します。
このチェンソー自体はすでに数年前から発売されていましたが、お恥ずかしい話ですが、販売実績がなく今まで気が付きませんでした。
先日、取引のあるチェンソーの販売修理をしている所へ納品に行ったときのことでした。
チェンソーが焼きついて修理し終わったものがあり、その横に傷ついたピストンシリンダーが転がっていました。

※赤丸の部分に傷(排気側)

※ピストンの方にも排気側全面に傷。
(燃料が薄すぎる事による、過回転、潤滑不足が考えられます)

ふと見るとシリンダーに何かネジ止めしてありました。
なんだろうと思い手に取り眺めて見ました。

これは面白い
このピストンシリンダーくださいといってもらってきました。
そして写真を撮りここに掲載することにしました。

両サイドの掃気ポートにネジ止めしてありました。

ネジを外してみた所

このようなものが取り付けられていました。



シリンダー内が覗き込めます。

ちょうど掃気ポートの一番上あたりになります。
なぜこのような部品が付いているのか。
部品点数が増えればコストが高くなるのにこのようなものがついている。
何か意味があるわけですが、これは私の推測ですが、このシリンダーは将来的に層状掃気エンジンを見越して設計されていたのではないかと思います。
層状掃気のシステムにする前にこのシリンダーを使いエンジンを作ったのだと思います。
ただ良くみていると層状掃気にするにはピストンバルブ式ではなくリードバルブ式にしなければならないような気がします。
ピストンバルブにするには空気を先導するポートができないような気がします。
リードバルブ式ならばこのシリンダーでできそうな気がします。
某メーカーのかたから聞いたのですがリードバルブ式は先導空気をコントロールしやすいらしいのですが、高回転型エンジンに使用するのが難しいといっていました。
高回転にリードバルブが耐えられないようです。
リードバルブの高性能化、高耐久性のブレークスルーがあったのならいいでしょう。
層状掃気エンジンの特徴としてクローズドポートのなるのでエンジンパワーはあがるでしょう。

ただ、このシリンダーは両サイドに穴が開いているので強度的にどうなのでしょうか。
ネジ止めでふさいでいるだけなので弱いような気がします。
2011年というとアナログ放送が終わりデジタル放送になる年ですが、それでけではなく農林業機械にとっては排気ガス規制の最終規制の始まりです。
しかも世界的な規制です。
各国により規制レベルは違いますが、大市場のアメリカの規制が厳しく、ヨーロッパではさらに厳しく、一番厳しい規制にパスしなければ全世界で販売できないので、販売戦略が立てられずメーカーとしてはダメージが大きくなるかもしれません。
このシリンダーを見て各メーカーの開発競争が垣間見えたような気がします。
2011年には各メーカー新型機種が目白押しかもしれません。
それではまた。
2008年9月8日
この記事に追加です。
このシリンダーを見て私は深読みしていたようです。
能書きをたれてお恥ずかしい限りです。
シリンダーの側面にフタをしているのはどうやら私が考えていた層状掃気うんぬんではないようでした。
クローズドポートの製造は工程が増え面倒だそうです。
このシリンダーはクローズドポートシリンダーを簡単に製造するために横から穴をあけてそしてフタをしたのではないかという事です。
クローズドポートの燃焼室側の出口を作ることは確かにオープンポートからすると面倒だと思います。
部品点数が増えても製造が簡単な方を選んだのではないかということでした。
この情報は先日スチールキャンプにて他の販売店さんなどといろいろ話をしているときに聞いた情報です。
このシリンダーについてもうひとつ聞いたことは、シリンダーに穴をあけているので強度が弱くなっているかもしれないということでした。
シリンダーにヒビが入ったり、割れたりすることがあったようでした。
シリンダーの製造の難しさを垣間見た気持ちです。
それでは。
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