久しぶりの更新になります。
年末で何かと気ぜわしく、夜に更新することがなかなかできません。
さて、今回はビニールひも巻き込みについて書いてみたいと思います。
これまでも何度か書いていますが、今回は軽い症状ですんだ機械もあったので書いてみたいと思います。
引越し用に使用するビニールひもは林業家にとってあまりいいものではありません。
商売道具のチェンソーにダメージを与えることが多いからです。
引越し用のビニールひもは軽く、長さもあり、価格も安いので山で木に目印をするのに使用することがあるようです。
チェンソーに悪いということや環境にも悪いということで、会社や地域によってはこのひもをまったく使用しないというところもあるようですが、価格が安いということでまだまだ使用しているところがあるようです。
今回は少しかわいそうな事例です。
ここの会社は自分たちが山に入り調査し目印をつけるときは、土に返る生分解性のマーキングテープを使用しています。
チェンソーにビニールひもを巻き込んだことも何回かあるので、専用のマーキングテープを使用しだしたということです。(環境のことに対しても気にかけている会社です)
今回は他社が調査目印をした現場で起こりました。
当然、目印のひもは取り外してから木を倒していきます。
今回は捨ててあったビニールひもが風で飛んできて2台のチェンソーに巻き込まれてしまったようです。
(風で簡単に飛んでしまう)
1台のチェンソーは大量にビニールひもを巻き込んだのでリム、ガイドバー、ソーチェンも交換しました。

スプロケットのひもは簡単に取れました。

リムの溝に食い込んだひもはなかなか取れませんでした。
磨耗もしていたので交換することにしました。

ガイドバーは先端のローラーにひもが食い込みローラーが動かなくなっていました。
ひももかなり食い込んでいて、完全にひもを取り除くことは不可能だと思いこれも交換しました。

ニードルベアリングにはほとんど巻き込みはありませんでした。

ウォームギアをはずしてオイルポンプ周りを点検しましたがこちらにも紐は巻き込んでいませんでした。
もう一台のチェンソーはひもも少なかったので交換する部品はなく清掃だけですみました。

赤丸で囲んだのがビニールひもです。
普通これくらいの量のひもが巻き込んでもチェンソーにダメージを与えてしまいます。

オイルポンプやニードルベアリングまでには巻き込みがありませんでした。

ではなぜオイルポンプのほうまでダメージがなかったかというと
ひもを巻き込んですぐにエンジンストップしたからです。
ビニールひもを巻き込んだ場合はスロットルを戻してソーチェンの回転を止めるだけでは不十分です。
必ずエンジンをストップさせましょう。
エンジンが始動しているとクラッチが回転しています。するとシャフトにひもが巻きつきスプロケットを動かしてしまいます。
そのままにしておくとオイルポンプまで巻き込んでしまうこともあります。
それともうひとつ巻き込んだと思ったらガイドバー、ソーチェンをはずして点検するだけでなく、できればスプロケットまではずしオイルポンプクランクシャフトの根元までひもを巻き込んでいないか点検します。
もし中まで巻き込んでしまったままチェンソーを使用しつづけると、オイルポンプが壊れたり、オイルシールが壊れたり、クランクシャフトのベアリングが壊れることもあります。
クランクシャフトのベアリング交換はクランクケースを分割しなければなりません。
工賃もかなり掛かってしまいます。
とにかくビニールひもを巻き込んだと思ったら、すぐにエンジンを停止してください。
そしてきれいに清掃してビニールひもを完全に除去してください。
それではまた。
※ユーザー・サポート・ページにて346XPのクラッチのはずし方など詳細に説明するよう準備しております。
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