今回はチェンオイルがでないという修理です。
この修理は似たような修理が続くというより、チェンソーシーズンになると必ずあるといって良いかもしれません。
中には非常に珍しい修理もありますが、概ね毎年ある修理です。


ビニールヒモの巻き込みです。
この修理はチェンオイルが出ないということで修理に入ってきたわけではありませんでした。
チェンブレーキをお客さんが分解組立し組立方を間違えたということでした。
チェンブレーキを分解洗浄しキチンと組立てなおして、ソーチェンを取り付けようとしたら、クラッチドラムがまったく動きませんでした。
チェンブレーキを分解したわけがわかりました。
クラッチが動かない原因がチェンブレーキの故障だと思ったようです。
ビニールヒモの巻き込みで動かなくなっているだけでした。
ビニールヒモを大量に巻き込んだので、クラッチがとまり逆に良かったと思います。
オイルポンプやウォームギアを壊さずにすみました。
実際、同じ時期にビニールヒモを巻き込んでウォームギアを壊してしまった修理がありました。
林業など木に印をするのに荷物用のビニールヒモを使用することがありますが、かなり厄介です。
印をする人は荷物用ビニールヒモが安くて便利なので良いのですが、実際に木を切る人にとっては本当に厄介です。
当然木を切る前にビニールヒモは取り外しますが、このヒモはささくれたりして完全に回収出来ないこともあります。
細くなったヒモが風に漂っていると気が付かないこともあります。
そのようなヒモをチェンソーに巻き込むことがあります。
オイルポンプを壊したりウォームギアを壊したりします。
ビニールヒモをチェンソーに巻き込むとまずいということがわかっていても、細くなって漂うビニールヒモに気がつかなければこのようになります。
木に印をつけるときはできるだけ専用のヒモなどで印をした方がいいと思います。
その現場で作業する方のことを考えると・・・そうした方がいいと思います。
ある森林組合のかたに聞いたのですが、目印用のテープがあるそうです。
(ハスクバーナにもあります)
若干価格が高いので使用するところが少ないのかもしれません。
ただ、機械が壊れ修理することを考えるとこちらのテープの方がいいと思います。
次はホースなどのゴムの劣化による故障です。


スチールの024というチェンソーオイルホースです。
024はもう10年以上前の機種なのでゴムの劣化は仕方がないかもしれません。
(スチールのゴム製部品は他社に比べて耐久性は高いと思います)
オイルポンプとつながる箇所が変形しています。
オイルポンプとの密着性が悪くなりエアを噛んでいると思います。
ホースを交換するとチェンオイルは問題なくでてきました。
どのメーカーでもゴム製部品の劣化でチェンオイルが出なくなることもあります。
このようなことを考えると長期間保管するときはチェンオイルもタンクから抜いておいた方がいいのかもしれません。
当店では鉱物性チェンオイルなら半年くらい入れたままでも問題ないといっています。
チェンオイル自体の変質は少なく問題ないかもしれませんが、ゴムをいためてしまう可能性はあります。
燃料ほど気をつけることはないかもしれませんが、気をつけるに越したことはないでしょう。
チェンオイルタンクのエア抜きが汚れて詰まってもチェンオイルが出なくなります。
エア抜きの汚れやすさはエア抜きの構造や場所にもよるのでメーカーや機種によってバラつきがあります。
ほとんど気にしなくて良いものからこまめに清掃しなければならないものもあります。
特に339XPはこまめに清掃した方が良いと思います。
チェンオイルタンクのキャップ横の白い円形部分がエア抜きです。
後チェンオイルが出なくなる故障原因で一番多いのはチェンオイルタンク内にゴミが入ってしまうことです。
チェンソーは木屑から逃れることはできません。ですからタンク内に木屑が入ることは避けられないと思います。
ですから、できるだけ入らないように給油時にキャップ回りをきれいにし、たまにはチェンオイルを抜いてタンク内を洗浄したほうがいいと思います。
最後に珍しい故障を紹介します。
オイルがでないというより、クラッチが回らない状態でした。
最初はフライホイールかシリンダー内に何かあるのかと思いました。
原因は小石でした。


ここにこのように小石がはまる確立はどれくらいなのでしょうか。
そんな風に考えると凄く珍しいなと思いました。

ギアの歯車が欠けていました。

挟まっていた小石。
チェンオイルの出が悪くなったと感じたら汚れやゴミがあるか点検してみてください。
それでは。
コメントの投稿